コメント『毎日新聞』1月10日付朝刊
- 2015/01/11
- 22:50
昨日1月10日の『毎日新聞』朝刊に掲載されたコメントをこのエントリの末尾に貼り付けておきます。1月9日付の『産経新聞』へのコメントと重なるところがありますが、『毎日』の方では、今後の展開を中期的な時間軸で捉え、「政教分離を明示的・意識的に受け入れる」層と「政教分離を拒否して過激化する」層が分化する可能性を指摘しています。もちろんその真ん中で迷う人が多数と思いますが、明確にこの分化が外からも内からも...
コメント『産経新聞』1月9日朝刊
- 2015/01/11
- 22:31
シャルリー・エブド紙襲撃事件について『産経新聞』1月9日朝刊に掲載されたコメントを下記に再録します。インターネット上では前日夜に公開されていたものです。なお、普通に読めばわかるように、私は移民を抑制しろなどとは言っていません。価値観の根本的な相違が露わにされると、移民の抑制論への支持は一層高まるだろうという予測を記しているだけです。すでにフランスにしてもイギリスにしても、中道右派と左派のいずれも移...
パリのテロは「イエメンの」アル=カーイダの広めたローン・ウルフ型ジハードの実践例
- 2015/01/10
- 19:42
1月7日のシャルリー・エブド紙襲撃殺害事件は、ゆるいつながりを持つ人物による警官殺害事件を惹起した。両方の犯人たちは、人質を取って別々の場所に立て籠もった(後者の犯人はユダヤ教徒向けスーパーを占拠して人質17人を取った)上で、1月9日、特殊部隊の突入と銃撃戦により死亡した。突入の経緯といった現地でしかわからないことについてはここでは論じない。重要なのは、すでに明らかになってきている背景や原因である...
仏テロ犯が「イエメンのアル=カーイダ」と称したという情報
- 2015/01/08
- 20:00
仏シャルリー・エブド紙へのテロ事件について、3人の襲撃犯のうち10代の一人が投降したようですが、主犯とみられる30代の二人(指名手配されているCherif Kouachi 32歳とSaid Kouachi 34歳)は逃走中のままです(CNNでこの兄弟のプロフィールをまとめています)。本日のエントリに加えてもう一点。犯人の背景についてはまだ確定的なことは言えませんが、一つ気になる情報は、銃撃の際に犯人のうち二人が自分は「イエメン...
豪立て籠もり犯は「一匹狼」型の模倣犯・呼応犯か──黒旗は別物です
- 2014/12/16
- 01:10

12月15日朝から、オーストラリア・シドニー中心部のリンツ・ショコラ・カフェでの立て籠もり事件は、つい先ほど、現地時間16日午前2時ごろ(日本時間午前1時頃)までに、治安部隊が突入して鎮圧したようで、事件そのものは終結に向かっている。犯人はイランからの難民として渡航したMan Haron Monisと特定されている。Australian hostage taker named as Iranian refugee charged with assault, Reuters, Dec 15, 2014 10:23am EST...
今日のアンワル
- 2014/11/04
- 02:59

さて、昨日から参加しているマレーシアでの会議なんだが、今日がメインの講演などが行われる日。しかしホスト役のアンワル・イブラヒムをめぐる政治的裁判のウォッチングが主たる関心事になりかけている。アンワルは朝に最高裁に出頭しなければならなくなったので会議のスケジュールも大いに乱れた。会議が行われているのはクアラルンプールの西に隣接したセランゴール県のペタリン・ジャヤ(Petaling Jaya)という新興住宅地のよ...
アンワルどうなる
- 2014/11/03
- 02:40

「イスラーム国」日本人渡航計画騒ぎで10月のスケジュールは壊滅。ひと月で原稿を4万字ぐらい書きました。時間的にも体力的にも墜落寸前まで行きましたが、ぎりぎりで大方終え、連休は会議のため日本脱出。少し休ませていただきます。マレーシア・クアラルンプール行き。ASEANシフトの一環です。恐れと憎しみが向かい合う欧米・中東を逃れて希望のアジアへ(ドミニク・モイジ『感情の地政学』の受け売り。クーリエでの国際政...
NHK「深読み」の後記(1)チェチェン紛争のグローバル・ジハードへの影響はもっと知られていい
- 2014/09/20
- 17:23
今朝のNHK総合「週刊ニュース深読み」に出演しました。ご意見・ご感想募集だそうです。ご一緒したジャーナリストの常岡浩介さんは、チェチェンの独立闘争ジハードを取材した経験から、現在シリアに流入しているチェチェン系のジハード戦士(ムジャーヒディーン)のつながりを持ち、その結果ヌスラ戦線や「イスラーム国」の内部を垣間見ることができる数少ない日本人ジャーナリストです。チェチェン系のジハード戦士は、ヨルダン...
「イスラーム国」の動員と組織化の「自発性」について(昔の講演がネット上にあります)
- 2014/09/19
- 14:25

週末から週明け早々の秋分の日にかけて、東京・京都を二往復するスケジュールになってしまい、「飛び石連休」を逆方向に飛ぶ(?)生活になっている。落ち着いて机に向かってブログに解説を載せている時間もないので、昔行なった講演を引っ張り出してみる。「イスラーム国」をめぐる現在の議論につながる関心をずっと持っていたんだなあ、と自分のことを自分で再確認。いや、日々の仰天するような変化に対応するのに追われて軸とな...
マニラ2000
- 2014/03/28
- 22:20
ミンダナオ和平の話のついで。 そういえば2000年にもマニラに立ち寄ったことがあった。その時も新聞を開けばミンダナオ紛争ばかりだった。2000年にMILFとフィリピン政府は全面的な衝突を繰り広げていた。その時はエストラーダ大統領だった。 マニラに着いて乗ったタクシーの運転手がムスリムで、興奮してメッカの写真を掲げて「ジハード・ジハード!」と言っていた。マニラでも熱くなっていたんですね。 この時は外務省のサウ...
ミンダナオ紛争で和平合意が調印
- 2014/03/28
- 20:13
3月27日に、フィリピンで政府とモロ・イスラーム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front: MILF)が「包括和平合意文書」に調印した。(リンクはなんとなくマレーシア・ボルネオ島のウェブ新聞にしてみました・・・マニラより近いし。フィリピンの新聞だと『フィルスター』とか『インクワイアラー』なのかな?) フィリピン南部のミンダナオ島の西部の一部とスールー諸島には、1990年以来、ムスリム・ミンダナオ自治地域(AR...
それにしても
- 2014/03/22
- 11:44
先日の朱建栄先生の件も、今回の王柯先生の件も(もし政治的事案なのであれば)、中国共産党の見解もかなり取り入れて日本社会に説明するような姿勢をもった人の方が、中国に戻った時に問題にされているというのはどういうことなんでしょうね。 朱建栄先生などは明確に中国政府の日本向けの弁護士のようで、まさにdevil's advocateという言葉の好例だなあと思うのですが。 中国政府の見解と全面的に対立している人はそもそも中...
王柯先生の著作
- 2014/03/22
- 10:52
王柯『東トルキスタン共和国研究―中国のイスラムと民族問題』東京大学出版会、1995年今日は東大出版会の本の紹介が重なりました。無事のご帰還を祈ります。先日は、楊海英『モンゴルとイスラーム的中国』(文藝春秋・文春学芸ライブラリー)をご紹介しましたが(「モンゴルとイスラーム的中国」2月19日)、いずれも日本留学で学者となった先生方です。 日本の学界は、適切に運営・支援が行われれば(←ここ重要)、中国に極...
【緊急】神戸大の王柯先生が中国で拘束か?
- 2014/03/22
- 10:31
これは心配です。中国ムスリム、特にウイグル問題で有名な王柯(おう・か)先生が中国に行ったきり連絡が取れないようです。「神戸大教授:中国で不明に ウイグル族を研究」『毎日新聞』2014年3月22日 中国の内政全体の中でも、特に新疆ウイグル情勢は、かなり緊迫化しているのではないかと思います。 マレーシア航空機の失踪でも即座にウイグル系あるいはトルキスタン系ムスリムによるジハードではないかという噂...
メッカ巡礼とパンデミックの関係
- 2014/03/01
- 13:46
先日、サウジを中心に広がっているMERS(中東呼吸器症候群)について紹介したけれども、エジプトでも初めての死者が出た。"First Egyptian dies from MERS in Aswan: Al-Ahram," Ahram Online, Friday 28 Feb 2014記事によると・・・A woman in Upper Egypt's Aswan has reportedly died Friday from Middle East Respiratory Syndrome (MERS), a deadly respiratory virus that appeared in Saudi Arabia in 2012.Gamila Ibrahim,...
アンワル・イブラヒム元マレーシア副首相の入国拒否
- 2014/01/21
- 13:44
この件、政策として、まったく意味が分かりません。「マレーシア元副首相、成田で入国拒否される」(AFP=時事 1月20日(月)18時19分配信)「マレーシア元副首相の入国拒否 東京入管」(朝日新聞デジタル版2014年1月20日21時44分)アンワル元副首相は、アジア通貨危機の波及で政治・経済的に動揺した1998年、当時のマハティール首相と袂を分かって解任され、汚職や同性愛の罪を着せられて投獄。嫌疑は濡れ衣というのがほぼ世界...