今年の桜
- 2015/04/19
- 07:00

休日の先端研。うららかな陽気。気がついたら桜は散っていた。緑の枝が風にそよいでいる。気持ちがいい。実は動画も撮ってみました。鳥の鳴き声が入っています。大正時代からの建物と、現代建築が並存する先端研・生産研。左側は原広司設計。生産研の先生でもあったんですね。何か見覚えがあると思う人がいるかもしれません。原広司は京都駅ビルの設計者。時期もほぼ同じです。今年は3・4月に何をしていたのか思い出せない。おそ...
中東政策の「オバマ・ドクトリン」が詳細に明かされる
- 2015/04/18
- 08:00
週末の視聴。今週はこれを推奨。先週に出ていましたが、忙しいのでじっくり検討する時間がなかった。聞いてみると、やはり色々考えさせられた。Thomas L. Friedman, "Iran and the Obama Doctrine," The New York Tims, APRIL 5, 2015.4月5日にニューヨーク・タイムズのウェブサイトで公開された、オバマ大統領の中東政策をめぐる詳細なインタビュー。聞き手はトマス・フリードマン。46分もある。4月2日のイラン核開発問題で...
My lecture on the spontanuous mechanism of participation-mobilization of global jihadists
- 2015/04/17
- 07:00
A short lecture given to Yomiufi Shimbun last month was translated on The Japan News. The comment revolves around the mechanism behind the spontaneous proliferation of global jihadists in dis-contiguous pockets of disturbances."Radicals spontaneously join ISIL network." The Japan News, April 12, 2015.元になる日本語のインタビューはこれ。「【インタビュー】読売新聞3月25日付「解説スペシャル」欄でイ...
サウジの石油価格下落放置の究極の狙いは「需要の維持」とする説
- 2015/04/16
- 07:00
石油価格が低下傾向に入ってから10ヶ月ほど。米国のシェールオイルの生産の落ち込みが始まり、今年1月にはブレント指標で50ドル/1バレルを割り込んだが、サウジのイエメン介入が地政学リスクの認識を高めたせいなのか、4月14日には58ドルまで上がっている。しかし、昨年後半以来の石油価格低下を、サウジが止めようとしなかったこと、特に、OPECでの価格引き上げ策を積極的に拒否して下落を加速させたことについては、...
「イスラーム国」とフセイン政権残党のつながり『ワシントン・ポスト』紙
- 2015/04/15
- 07:00
「イスラーム国」のイラクの指導部にフセイン政権の関係者が入っているという『ワシントン・ポスト』紙の報道。よく言われている話で、『イスラーム国の衝撃』でも言及しておいたが、特に決定的な目新しい情報があるわけでもない。しかしアラビア語紙でもそのまま転載されていることが多い。話題になっているので、参考読み物としてポストしておきます。写真も付いているし。"The hidden hand behind the Islamic State militants?...
ジョナサン・リテルの『ホムスのノートブック』
- 2015/04/14
- 11:36

シリア内戦や「イスラーム国」、ジハード主義の運動についていい記事をよく載せている『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』のブログをたまに見ているが、ジョナサン・リテルの『ホムスのノートブック(Carnets de Homs)』が英訳されることを知った。英語版の序文が転載されている。Jonathan Littell, "What Happened in Homs," The New York Review of Books, March 18, 2015.フランス語版は2012年に出ている。Jonatha...
イエメン情勢を読み解く
- 2015/04/13
- 07:00

イエメンの問題についてここのところ詳細に紹介しているけれども、それはローカルな興味からだけでなく、サウジの動揺と湾岸産油国全体の動揺につながりかねないがゆえに日本にとって重要性を持つからだ。ワシントン・ポスト紙は、サウジの対イエメン空爆は3月26日の開始以来2週間で、見たところはかばかしい成果を上げておらず、人道問題や、過激派の活動する権力の空白が広がっていると、早速警鐘を乱打。"Yemen conflict’s ...
イエメン情勢の「最悪の最悪の」シナリオは
- 2015/04/12
- 08:00
サファー・アハマドのイエメンについてのドキュメンタリーについて昨日紹介したけれども、これを4月7日に放送した米公共放送局PBSは、イエメン情勢についての基礎情報や最新の分析を次々と放送したりウェブに上げている。元FBI捜査員で、9・11事件以前にイエメンでのアル=カーイダの活動を追いかけていたアリー・ソウファーンのコメント。ソウファーン・グループは、アル=カーイダとその関連組織や、「イスラーム国」への義...
イエメンのドキュメンタリーの行方
- 2015/04/11
- 09:01
おはようございます。本日も論文準備のため出勤です。寒いです。平日は大学事務やら、いろいろな依頼に応えたり断ったり引き受けると事務作業とか面会して打ち合わせとかこないだの講演の文字起こしを直せとかものすごい大量の雑務が積もっているのでほとんど仕事にならない。皆さん、何が重要なことか、ちょっと考えてください。それはともかく、先日、イエメン問題についていいドキュメンタリーがある、という紹介をしたところ、...
書評まとめ(3)『イスラーム国の衝撃』
- 2015/04/07
- 23:24

次の本の詰めが難航して長考に入り、ウェブからしばらく離れて文献読み込みにはまり込んだりしていまして、「ほぼ日」化宣言していたブログ更新も滞っていますが、いくつか『イスラーム国の衝撃』に大きめの書評が出るようになってきたので、紹介します。(1)『毎日新聞』2015年3月29日、《今週の本棚》「『聖戦』の広がりと変容」(評者 本村凌二(推薦)・岡真里・橋爪大三郎)『毎日新聞』の書評は、まず推薦者が紹介...
ジル・ケペル『中東戦記』を、市場からなくなる前にどうぞ
- 2015/04/04
- 07:00
このブログで紹介しようと思いつつ、自著(翻訳ですが)なので後回しにしてきたこの本。ジル・ケペル『中東戦記 ポスト9.11時代への政治的ガイド (講談社選書メチエ)』(池内恵訳・訳注、2011年)どうやら在庫僅少らしい。もし重版されないと、手に入らなくなりますので、お求めの場合はお早めに。最近売れているので店頭では品薄になって、出版社の在庫もほとんどないらしい。アマゾンの在庫は切れているようだし、ジュンク堂...
外務省の海外安全情報の読み方ーーリスクを測る・基礎編(付録:ケニア・ガリッサの危険度)
- 2015/04/03
- 07:00

シリアで人質に取られ殺害された二人の日本人の事件に際しては、「危険な地域になぜいった」「危険な地域に入ろうとする人を止める方法はないのか」といった問題が浮上しましたが、3月18日のチュニジア・チュニスのテロでは、比較的安全とされている地域に世界中の観光客と一緒にツアーで行ったら銃撃されて殺害された、という事態でしたので、「どこへ行ったら安全なのか」「どうやって危険を察知したらいいのか」という問題に...
『週刊エコノミスト』の読書日記(10)不寛容への寛容はあるのかーーキムリッカ『多文化時代の市民権』を読み直す
- 2015/04/02
- 07:00
『週刊エコノミスト』の読書日記の第10回が出ました。すでに3月30日(月)に発売されています。今回も、電子版には掲載されておりません。池内恵「不寛容への寛容はありうるか」『週刊エコノミスト』2015年4月7日号(3月30日発売)取り上げたのは、ウィル・キムリッカ『多文化時代の市民権 マイノリティの権利と自由主義』(角田猛之・山崎康仕・石山 文彦訳、晃洋書房、1998年)です。 自由主義的な社会の中で少数派や...
イエメン・奇跡の風景
- 2015/04/01
- 07:00
まったくブログに何か書く時間的余裕がありませんので、最近フェイスブック等でもよくお知らせしているイエメンについて。政治情勢さえああでなければ、イエメンは非常に美しいところなんですよね。よそでは見られない絶景の宝庫。それも自然・風土に人間が長い年月をかけて手を加えてできた、究極の文明の遺産。アラブ人の精神的な故地とも言えます。そんなイエメンの風景写真を、例えばこのようなウェブサイトからどうぞ。Colin ...
イエメン情勢を現場から解読するドキュメンタリー
- 2015/03/31
- 07:00
イエメンの情勢を現場から、かつ政治対立の構造を見事に可視化してくれるドキュメンタリーが、BBCのホームページで公開された。The Rise of the Houthisこれはすごい。2014年9月に首都サヌアを制圧してから3ヶ月の間の変化を記録しており、一つ一つの画面や登場人物から目を離せない。取材・構成はサファー・アハマド(Safa Al-Ahmad)。BBCアラビックの記者で、急速に注目される女性である。サファーはその前に作った、サウ...
「国際報道2015」の特集で『イスラーム国の衝撃』の「その後」を見ていきましょう
- 2015/03/30
- 07:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】昨日は『イスラーム国の衝撃』の脱稿・刊行以後の事象を、この本をどの部分を手掛かりに読み解いていけばいいのか、ガイドラインを示しておきましたが、そもそも、生じてくる事象についてどのようなメディアを通じて知ればいいのかがわからない、という人もいるでしょう。私自身のフェイスブックのアカウントから、時折、現地...
トリセツ『イスラーム国の衝撃』:チュニジアやイエメンでの新たな事象の理解にもご利用ください
- 2015/03/29
- 07:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】『イスラーム国の衝撃』が、当初は品薄で入手に苦労された方も多かったようです。また、お手元に届いてからも、そう簡単に読み進められないという感想も伝わってきます。それはその通りで、すぐに読み捨てるようにはできておりません。今後も長く、中東やイスラーム世界を見る際に参照してほしい本です。この本は、「イスラー...
「読売プレミアム」で長尺インタビューが公開
- 2015/03/28
- 07:00
先日、3月25日付の『読売新聞』に掲載されたインタビューについてお伝えしましたが、そこでは大幅に省略されていたので、長いものが「読売プレミアム」に掲載されました。「イスラム国とは何か 判断材料にしてほしい」『読売プレミアム』2015年3月27日ロングバージョンの方は、『イスラーム国の衝撃』の裏話や、ネット媒体での議論と拡散を介して、紙の本が多くの人の目に触れて二度といた経緯など、「『イスラーム国の衝撃』...
【インタビュー】読売新聞3月25日付「解説スペシャル」欄でイスラーム国とチュニジアについて
- 2015/03/26
- 07:00
昨日(3月25日)の読売新聞朝刊に大きめのインタビューが掲載されておりました。私はあまりに忙しくて忘れていたのですが、気づいて声をかけてくれた方々が多くいました。この記事はウェブ上では有料の「読売プレミアム」のみで公開されています。また、続編を「読売プレミアム」で出していくという企画が進んでおり、数日内に公開される予定です。[解説スペシャル]過激派、自発的に傘下入り 「イスラム国」世界で宣伝戦…池...
チュニジアのウクバ旅団の脅威についてのJane's事前の予測
- 2015/03/25
- 07:00
昨日は、チュニジアのテロに関して、関与が疑われる最有力候補としてのウクバ・イブン・ナーフィア旅団について、それが「イスラーム国」の一部と言えるのかどうか、「アンサール・シャリーア」など他の組織との関係はどうかなど、混乱の所在と論点を提示したが、まだまだ議論は尽きない。チュニジアという日本でよく知られていない国であるために、そもそもウクバ旅団について報道で名前さえ触れられないので、議論がしにくい。例...
チュニジアのテロを行った集団は「イスラーム国」に属するか否かーーウクバ旅団について
- 2015/03/24
- 07:00
チュニジアのテロについて、どうも現地の報道と、日本の報道に乖離があって隔靴掻痒である。その中間には、英語圏の国際メディアの報道があるが、こちらは現地報道のうち共通認識と言える部分をかなり吸い上げつつ、「イスラーム国」や「アンサール・シャリーア」「アル=カーイダ」などのグローバルなジハードの展開についての記事へと結びつけている。日本の報道ではある程度以上複雑(に日本の読者に感じられる)ことを捨象して...
『現代アラブの社会思想ーー終末論とイスラーム主義』が9刷に
- 2015/03/22
- 08:00

『現代アラブの社会思想ーー終末論とイスラーム主義』の第9刷が、先月から市場に出ています。9刷の部数は2100部、と細かい。新しい帯が付いています。累計は5万6100部になりました。2002年の1月に刊行されてから13年間、よく長く生き続けてきました。長く生き続けるということこそが、評価の一つと思っています。この本は、自分自身の研究者としての歩みを振り返る時に、忘れることのできない本です。なによりも...
リビアを新たな聖域とするグローバル・ジハードの次の目標はチュニジア、エジプト、アルジェリアの不安定化(2月18日エントリの再録)
- 2015/03/21
- 12:18
3月18日のチュニジアでのテロについて、情報を取りまとめております。この事件の直接的な背景が何であったのか、この事件をきっかけにチュニジアや北アフリカに今後何が起こってくるのか、考えています。そもそも、チュニジアを中心とした「アラブの春」によって政治変動が様々に起こった諸国について、現在本を完成させる途中であり、そのためにチュニジアそのものについての情報のとりまとめと発信は後回しになっていました。...
【テレビ出演】3月22日(日)夜9時〜「週刊BS-TBS報道部」に出演し、チュニジア分析をします
- 2015/03/21
- 08:00
明日日曜夜に、例外的にテレビ出演を行います。3月22日(日)夜9時〜BS-TBSの「週刊BS-TBS報道部」にて、スタジオでチュニジア情勢について、その中での3月18日のバルドー博物館へのテロについて、解説します。前回2月1日と同じく、元『フォーサイト』編集長の堤信輔氏がレギュラーのゲストで一緒に出演してくださるという条件の元で、また事前に番組構成について私の見解を踏まえてテレビ局側が入念に準備するという条件...
書評まとめ(2)『イスラーム国の衝撃』
- 2015/03/19
- 00:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】『イスラーム国の衝撃』への書評のまとめの続きです。(1)はこちら。3.週刊誌『週刊新潮』2015年2月5日号(1月29日発売)、《書評欄》「『イスラーム国の衝撃』 池内恵著」(評者・林操)この号は「イスラーム国」一色だったようですね。『週刊ダイヤモンド』2015年2月7日号、《Book Reviews 知を磨く読書》「敵意を増大...
『イスラーム国の衝撃』を剽窃した記事についての対応
- 2015/03/18
- 01:16
非常に時間がないのですが、誤解やデマを避けるために、ここに書いておかねばなりません。『東洋経済オンライン』に掲載された二つの記事が、私の書いた『イスラーム国の衝撃』の複数の箇所を、若干文体を変えただけの引き写しであることを発見しました。問題設定も、論旨も、論理展開も、引いてくる事例もほぼ全てが『イスラーム国の衝撃』および『現代アラブの社会思想』、そして本ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」からの...
書評まとめ(1)『イスラーム国の衝撃』
- 2015/03/17
- 06:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】今回は、『イスラーム国の衝撃』についての書評、書評に近い反響をまとめておきましょう。全部把握しているわけではないので、他にも出ているのを知っていたら教えてください。順次加えていきます。普通は本を出すと、出版社は広告を出し、新聞社などに送ります。新聞や雑誌の書評欄で取り上げてもらうと、書店でも特設コーナ...
コメント集(2):「イスラーム国」による日本人人質殺害・脅迫事件
- 2015/03/16
- 06:00
「イスラーム国」問題では、基本的に既存メディアにはコメントを出しませんでしたが、消極的ながらコメントの掲載を許可した場合もあります。許可したメディアの選び方に特に根拠はなく、偶然です。過去のコメント集の流れで、とにかく記録しておきます。2001年以後の私の論考やコメントは全て保存してあるが、ウェブ上にないのをいいことにデマを流す人が出てくる。防衛策としては、少なくとも存在するものについてはウェブ上...
鳩山さんとドパルデュー:係争地への「移住」について
- 2015/03/15
- 06:00

日曜日なんですからちょっとは軽いネタを。軽くないかも。鳩山さん。「友達の友達が・・・」の人ではなく、最近クリミアに行った元首相の方ですね当然。ロシアの宣伝放送Russia Todayは、ばっちり、一緒に行った右翼団体の人と並んだ会見を伝えています。Ex-Japanese PM finds Crimea referendum 'expressed real will' of locals, Published time: March 11, 2015 10:37; Edited time: March 11, 2015 13:55 連日、ロシア政府の思...
スタジオジブリ『熱風』3月号にエルサレムの宗教政治地理について
- 2015/03/14
- 06:00

スタジオジブリ出版部の『熱風』3月号に寄稿しました。テーマはエルサレムの神殿の丘の地理に見る、宗教と政治権力の関係について。池内恵「エルサレム「神殿の丘」の宗教と権力」『熱風』2015年3月号(3月10日発行)、26−32頁出版社のPR誌という、一般にはあまり知られていない格安の媒体があって、私はそれについては熟知していたつもりだったのが、スタジオジブリ出版部にもあるとは知らなかったので、動揺して引き受...